カリスマ的カウンセラーってプロから見るとどう思う?

カウンセリング

こんにちは、D.Cozieです。
今日は「カリスマ的なカウンセラーって、プロカウンセラーからみたら、どうなの?」という話をしたいと思います。

すばらしい助言をするカウンセラー。

カウンセラーはどれぐらい助言をするのでしょうか。

相談を受けたとき、いつも考えます。
「どうしても悩まないといけない理由は何だろう」

その人が悩んでいることは、結局はその人でしか悩みの解決法をみつけられない。
というのも、他の人ならば簡単に解決できるようにみえても、悩んでいるのは本人。
他人が助言をしたとしても、解決にはそれほど役に立たないことがあります。

ですのでカウンセラーとしてはあまり助言はしない。

「私はこう思うけれども」と意見はいいますが。無理強いはしない。
「こういう方法はあるけど試してみては」と提案はしますが。強制ではない。

このあたりって結構、大事だと私は思っています。

こころを変えるのって、結局、自分自身の力に頼るしかありません。

自分自身でなんとか変えていこうという試みの積み重ねによって、こころは変わる。
カウンセリングは、変わろうとしている人のサポートでしかありません。

カウンセラーが「強烈にこころに響くようなひと言をいって、その人を変える」
実際のカウンセリングでは、あまりそのような状況はみられません。

カリスマ的カウンセラーが登場する。

なぜこういう話をするかというと。
テレビでみる「カウンセリングをしている人」たちは、なぜか「強烈なアドバイスをする」人たちが多い。
もしくは、「あなたのこころには、こんな引っかかっていることがあるはずだ」とズバリあてて。

相談者が「えっ?なんでわかるんですか」と急に表情を変える。
こんなパターンが多い。

これってかなり微妙な問題を含んでいます。

カウンセリングとは先程いったように、相談者自身が、みずから変わっていくのを支えます。

強烈なひと言をいっても、そのときは「ああ、すごい!」と思っていても。
数か月経ったら「あんなこといわれて、あの時はびっくりしたけどね」ぐらいで。
あまり効果が残っていなかったりします。

しかも強烈なひと言をいうカウンセラーのカウンセリングを受けると別の影響もあります。

カウンセラーがものすごく素晴らしい人にみえる効果。

これがあるので、まるでカリスマのようにみえたりします。
すると相談をした人は「カリスマ的なカウンセラーが何でも悩みを解決してくれる」
という理想像をみてしまいます。

でも実際はカウンセラーであっても人間です。限界があります。
なんでも悩みを解決してくれるわけではありません。

理想像を追いかけているうちに、現実の人間関係がこじれることもあります。
「あの人がいるから、私にはほかの人間関係はいらない」と。

カリスマ的に扱われるカウンセラー。

これはカウンセラー自身にも、ある効果があります。

私はものすごく素晴らしいカウンセラーではないかと自尊心を高める効果。

カウンセラー自身が「私はカリスマ的な人間かもしれない」と思い込むのです。

この関係は「カリスマにみえるカウンセラー」と「カリスマだと思いたいカウンセラー」が、
うまくいっているときには、そんなに問題にならないのですが。

だんだんと問題が出てくることがあります。
カウンセラー自身はこころの底でよくわかっています。

「私にはそんなカリスマ的な人間ではない」

そうなってくるとカウンセラー自身、こころが耐えきれなくなってくる。
そのひずみが、身近な人たちとのトラブルなど問題が噴出します。

結果としてカウンセリングを続けられなくなったり、カウンセラーを辞めたりします。
それは相談をしていた人たちにとっても、ショックなできごとです。

カウンセラーという仕事につくときは、このような問題が起きてくる危険性について学びます。
そして、カウンセラー自身のこころについて、徹底的に振り返る訓練も受けます。

カウンセラー自身も自分のこころの問題があるのでカウンセリングに惹かれている。
それについて、とにかく認める。そしてカウンセラーのためだけにカウンセリングをしない。

実際のカウンセラーって、かなり地味な仕事です。カリスマ的な人はホント少ない。

本当は地味なカウンセラー。

テレビなどで、カリスマ的な雰囲気をもつカウンセラーやこころの癒し手というのが定期的に出てきます。
数年に1度、なぜかかならず出てきて、ものすごく人気を集める。

それによって、こころを癒されたという人もたくさんいると思います。
それはそれで、大事なことかと思います。

しかし、カウンセリングとはそのタイプのカウンセリラーばかりではありません。

本当に何十年もずっとカウンセリングをしているプロカウンセラーたちをみると、
ただ、ひたすら話を聞いてくれて。相談者のこころの成長を見守る。
そんな地味な人ばかりです。

そして1回話しただけで、人生が変わらないのをよくわかっているので。
何度も何度も時間をかけて話を聞きます。
ときには同じ人の話を繰り返し何年も聞いたりします。

強烈なひと言によって、その人のこころが大きく動く瞬間。
テレビの映像としては面白いかもしれません。
ある意味ではエンターテイメントとしては、大きなカタルシスを生むでしょう。

でも本当のこころの悩みとは、人前でも語れない。
人前でもし下手に語ったら、こころが大きく傷つきます。

カリスマ的なカウンセラーがテレビに出て活躍していたり。
公開で悩み相談をしているのをみると。
こういうことを考えてしまいます。