こんにちは、D.Cozieです。
「戦争は何世代に渡っても、こころに傷を残す」について話したいと思います。
こころの深層に数世代に影響を与える歴史的な出来事。
この時期になると、戦争の話題が多くあがります。
第二次世界大戦の終戦から、もう75年経ちました。
当時の情況を大人として体験して情況を知っている人は少なくなりました。
戦後に生まれた世代にとって戦争は「遥か昔の出来事」のように、
感じているかもしれません。
自分にはもはや関係のない過去の出来事だと。
私はこころの深層という観点からカウンセリングをしています。
こころ深層からみると、歴史的に大きな出来事というのは、数世代に渡って影響を与え続けるといえます。
意識できる部分としては
「親戚に戦争に出た人がいる」
「戦争で命をなくした親戚がいる」
事実として家族・親戚に共有されている出来事として記憶に影響を与えています。
もうひとつは意識できない部分。
たとえば戦争を体験した世代の人々の、こころ奥底に潜んでいる戦争の傷跡です。
こころの底に残る戦争の影響。
戦争によるこころの傷に関して、注目されるようになったのはベトナム戦争以後です。
それ以前も、戦争に出ていた人がこころに不調を示す症例はありましたが。
「戦争によるトラウマ」が広く知られるようになって、まだ数十年程度です。
日本ではどうでしょうか。
たとえばベトナム戦争以前の第二次世界大戦における戦争によるトラウマ。
これに注目されたことは少なかったかもしれません。
「私は生き残ったのだから我慢しないといけいない」
そんな日本人的美徳、もしくはサバイバーズギルトという、
「生き残った人の罪悪感」
これも影響していたのかもしれません。
戦争による自分のこころの痛みを語るのをためらった人もいたかもしれません。
でも注目されず、今まで語られなかったとしても、
実際には戦争によるこころの傷を抱えていた人は多くいたと思います。
戦争で酷い被害を受けた地域に住んでいる人だけでなく、世界各地で戦争によって日常生活を破壊された人たちがいる。
その人たちは差はあったとしても、なんらかの傷をおっているでしょう。
でもほとんど語られてこなかった。
もしくは、こころの傷ってどういうことかわからなかった可能性があります。
こころの傷はいろんな形であらわれてくる。
たとえば。
- ものすごく怒りっぽかった。家族をどなったり、暴力を奮ったりした。
- お酒やタバコ、ギャンブルなど、何かにものすごく依存的になっていた。
- 戦争に関するニュースを一切見ようとしなかった。家族にも話さなかった。
- でも戦争中に大変な体験をしたらしいと噂だけはあった。
戦争経験をした世代のなかで、、
このような家族と暮らしていたという人がいるかもしれません。
もしかしたらその人は、戦争によるこころの傷を抱えていたのかもしれません。
でも、誰も気付いていなかった。本人も家族も。周囲の人たちもみんな。
こころの傷は、精神状態の大きな揺れとして現れることもあります。
戦争によって抱えることになった、こころの傷。
その影響で出てきた、いろんなこころの状態。
これは本人だけでなく、本人と関係のある人にも作用します。
家で暴れる人と一緒に暮らしてきた子どもや家族。
子どもや家族も、大きなこころの傷を負うでしょう。
酒やギャンブルに依存している人とその家族。
依存している人を支えるのに、家族も大変な思いをします。
大変な情況に暮らす家族。
それは戦争によるこころの傷によって起きていたのかもしれない。
間接的だけども、ものすごく強い作用を持って。
戦争を体験した世代の人たちだけでなく、
戦争を体験してこころの傷を抱えた人たちに育てられた世代。
そう考えると、戦争は何世代にもわたって、こころに影響を与えている可能性があります。
「戦争は前の世代が体験した過去のこと。私たちの世代とは関係ない」
とはいえないかもしれない。
むしろ、私たちにもいまだに影響を与えている関係の深い出来事。
こころの側面からそう考えると、終戦をみる眼が変わるかもしれません。